労働保険料の削減方法

1.メリット制を活用する。(労災保険)

労働者災害補償保険のメリット制は、個々の事業(一定の規模以上の企業)における災害防止努力の結果に応じて、労災保険率や保険料の額を増減させる制度です。この制度は、労働災害の防止に取組む事業主の保険料負担の公平性と災害防止努力の促進を目的としたものです。
具体的には、労働災害に基づく保険給付の実績からメリット収支率を算出し、その値に応じて、一定の範囲内で労災保険率(保険料の額)を増減させます。メリット制の適用により、労災保険率(保険料の額)は一般の継続事業の場合及び建設の事業は±40%(立木の伐採の事業の場合は±35%)の範囲内で増減することになります。

【事例】
金属製品製造業を営んでいる企業が、労災事故を無くす努力をし、−40%のメリット制の適用を受けることが出来るようになった。年間の賃金総額は120,000,000円。

【対策前】
労災保険料 120,000,000円×14/1,000=1,680,000円

【対策後】
労災保険料 14/1,000×(1−0.4)=8.4/1,000
      120,000,000円×8.4/1,000=1,008,000円

 1,680,000円−1,008,000円=672,000円

 従って、672,000円の節約を図ることが出来ます。

2.本社を移転し、個別に加入する。(労災保険)

労災保険の保険料率は、事業場ごとに判断されます。金属製品製造業を営んでいる企業で、本社と工場が同じ場所にあれば、労災保険率は、14/1,000となりますが、工場から本社を移転すれば、本社の労災保険率は、その他の各種事業と判断され、14/1,000から4.5/1,000となります。

【事例】
労働者50人を雇用しているA金属製品製造業の事務所の全労働者の月額賃金を一人当たり300,000円、賞与を600,000円とした場合で、本社を移転し、20人を本社に転勤させ、営業職と事務職20人の体制とした。残りの30人は従来通り、工場で生産活動に従事するものとします。

【対策前】
労災保険料 (300,000円×50人×12ヶ月+600,000円×50人)×14/1,000=2,940,000円

【対策後】  
労災保険料
工場 (300,000円×30人×12ヶ月+600,000円×30人)×14/1,000=1,764,000円
本社 (300,000円×20人×12ヶ月+600,000円×20人)×4.5/1,000=378,000円
                           合計 2,142,000円

,940,000円−2,142,000円=798,000円

従って、798,000円の節約を図ることが出来ます。

3.被保険者になれない人を活用する。(雇用保険)

「昼間部に通っている学生」や「週20時間未満の労働時間のパート・アルバイト」は、雇用保険の被保険者となりません。これらの者を雇用すれば、雇用保険料を節約することが出来ます。単純作業に従事させる場合は問題ありませんが、戦力として考える場合は、教育・訓練が欠かせませんので、この点に配慮することが大切です。時間給に格差を設け、能力向上に努めさせることも重要です。

【事例】
従業員(月給200,000円、賞与600,000円)2人の退職を昼間部に通っている学生1人(年収130万円)、労働時間週19時間(時間給800円)のパート4人で埋める。

【対策前】
雇用保険料 3,000,000円×2人×11.5/1,000= 69,000円
労災保険料 3,000,000円×2人×4.5/1000=  27,000円
                                   合計  96,000円

【対策後】
雇用保険料                                 0円
労災保険料  4,372,000円×4.5/1000=    19,674円
                               合計    19,674円

 96,000円−19,674円=76,326円

 従って、雇用保険料,労災保険料合計76,326円の節約が出来ます。

また、健康保険料282,900円、厚生年金保険料428,640円、合計711,540円も合わせて節約することが出来ます。総合計では、787,866円の節約を図ることが出来ます。

【パートで働くメリット】
週20時間未満のパートは、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の適用除外者となるので、これらの保険料を払う必要がありません。年収が130万円未満であれば、健康保険の被扶養者となることが出来ます。また、国民年金は配偶者が第2号被保険者の場合(会社、役所等に勤務している場合)、第3号被保険者となり保険料を払わなくて済みます。収入が103万円未満だと所得税を支払わなくて済みます。

4.64歳以上の高齢者を雇用する。(雇用保険)

その年の4月1日現在、満年齢64歳以上の人の雇用保険料は、企業負担、個人負担ともに免除されます。従って、この64歳以上の人を雇用すると雇用保険料を節約することが出来ます。高齢者ですので、健康問題・意欲・能力等に留意することが大切です。

【事例】
正社員(月給200,000円、賞与600,000円)2人の退職を、64歳以上の者(週労働時間19時間、時間給800円)を4人採用して埋める。

【対策前】
雇用保険料 3,000,000円×2人×11.5/1,000=69,000円
労災保険  3,000,000円×2人×4.5/1000=  27,000円
                        合計    96、000円

【対策後】
雇用保険料                           0円
労災保険料  3,064,320円×4.5/1000= 13,789円
                        合計 13,789円

96,000円−13,789円=82,211円

従って、雇用保険料、労災保険料合計で、82,211円を節約することが出来ます。

また、健康保険料282,900円、厚生年金保険料428,640円、合計711,540円も合わせて節約することが出来ます。総合計では、793,751円の節約を図ることが出来ます。

【高年齢者がパートで働くメリット】
週20時間未満のパートで働くと雇用保険、健康保険、厚生年金保険の適用除外者となるので、これらの保険料を払う必要がなくなります。また、厚生年金保険の適用除外者なので、特別支給の老齢厚生年金を全額受給することが出来ます。



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